KEYS的世界の行方

                           金城博子   2012-09-09

1983年10月に第1回が開催され今日まで丸26年、すでに300回以上回開催されたKEYSに私はどれくらい参加できただろう。

故 杉山先生が幹事をされた第85回を最後に福岡を離れてレギュラーメンバーでなくなった。たまたま帰省した折に運よく出席できた会をいれても300回の3分 の1にも及ばないかもしれない。そんな幽霊会員ではあるけれどKEYSに対する思いは人一倍と持ち合わせているかもしれない。

生 まれ育った故郷を離れて新しい土地に移り暮らしている私のところにも折々の記念に届けられる「KEYSの歩み」。とても感謝して手にとっている。そしてそ こに記録された毎月の本のタイトルと幹事、開催の場所、そしてその回のコメントをひとつひとつゆっくり丁寧に読ませてもらっている。

本 との出会いはかけがいのないものである。自分の選択ではたどり着けなかったメッセージを本からもらうこともあった。思いのままに交歓するにふさわしい開催 の場はすでに見知らぬ処ばかりだけれど、KEYS好みの居心地のよい空間と美味しい酒菜の店だろう。縦横無尽に展開する会話を見事にまとめたコメントはそ の時の本に由来する場合もあるだろうし、そこにいる出席者の感情に大きく左右されることもあるだろうけれど、その行間に横たわる感傷にはうなづくことが多 い。

「KEYSの歩み」に書かれたひとつひとつの回が私の想像力を掻き立て、それは臨場感あふれる1章1章の短編小説のようなものだった。その制作を担ってくれた方々の労にあらためて感謝したい大切な宝物である。

こ れまでKEYSは、来るものは拒まず、去るものは追わずという精神のもと、しなやかに生き続けて来た。何事にもとらわれず、古いものをいとおしみ、新しい ものを喜んで受け入れた。そんなKEYSも時とともにそのあり方が変わりつつあるのは自然のながれなのだろう。優しく、時には厳しく、決して見捨てず、お 互いに関わり合いながら、そして同時に自分とも真摯に向き合わずにはいられなくなる、そんな「KEYS的世界」を大切にしてきたメンバーによるKEYSは これからどこへ進んでいくのか?

遠く離れていてもその行方をいつも一緒に考えたいひとりである。